猫を飼っている飼い主さんの二人に一人は猫が太っていると自覚しているとの調査結果もあり、ここ数年肥満化傾向にある飼猫について、お話させていただきました。
前もってお知らせできませんでしたので、お聞きになった方は少ないと思いますが、参考になったとのうれしいご意見もいただいております。アーカイブ(文字起こし)を原文のまま転載させていただきます。ご参考になさってください。
J-wave「JAM THE WORLD」CASE FILEのアーカイブのページはこちら(日にちを選んでください)
On Air DATE 20140925
「なぜ、今、猫が肥満化しているのか?」
猫の肥満になる原因の1つに去勢手術がありますが、これは事実です。通常、ワンちゃんも猫ちゃんも子供を作らない場合は、必ず去勢をする。これは、オスで、メスは避妊手術をするのが飼育の一大原則なんです。それによって防げる病気も多くあるんですが、ただ、避妊手術の、
ある意味では欠点というか、これは仕方ないことなんですが、避妊手術をする前と同じ量を食べさせていると太るという医学データがあるので、
手術をしたら、食事量は2、3割減らすのが一般的なやり方です。種類というよりも飼い方ですかね。
なりやすい年齢というのはあると思いますが、やはり高齢になれば肥満になりやすくなるというのは、ある意味で人間と同じですが、
本当に高齢になると体重が減ってきますんで、その辺の鑑別も難しいこともあります。特に小さい時に肥満になるとその肥満は非常に解消するのが難しいと。
細胞自体が肥満細胞といって大きくなりますので、それを小さくすることはすごく難しいんですね。成長期の時は特に食事には気を付けて、
ある程度一定の大人、1年とか10カ月になれば、そこで成長は止まりますけれども、それまでの間は特に食事には気を付ける必要がありますね。
On Air DATE 20140926
「飼い猫が肥満かどうか、判断する基準は?」
ある意味では、猫の肥満っていろんな要因があるのでかなり難しいんです。まず、猫が肥満になっているかどうか、ある程度見れば分かりますが、おのおのの猫には標準体重があって、日本猫や雑種の大きさはある程度バラバラなんですね。まぁ、決められた体重があるので、その子の成猫になった時の体重があれば、それを参考にしてということですが、病院では、触診と言って体を触って分かるんですが、特に胸の周りを触って、胸には肋骨がありますので、そこの肋骨が直接触れないというか、ふつうはある程度ゴツゴツしているんですが、それがまったく触れなくなっているというような子は太っていると。肥満と太り気味っていうのは違うんですが、一般論としては、ふつうの猫ちゃんは、3.5キロくらいですが、大きめの猫でなくして、4.5キロ以上あれば肥満と言えるんじゃないでしょうかね。
病院では独自にボディコンディションスコアっていうのがありまして、5段階とか9段階にあるんですが、一度、近くの病院に行った場合、ご自分の猫ちゃんのボディコンディションスコア、いくつかというのを把握するのも1つは重要かと思います。例えば、簡単に言うと5つにわけると1が痩せすぎ、2がやや痩せ気味、3が標準体重、4が太り気味、5が太り過ぎですね。
On Air DATE 20140927
「猫が肥満になってしまうとどうなるのか?」
肥満は、人も含めてあらゆる病気の原因になりますので、全てではないのですが肥満は最近の考え方では、炎症というか。あらゆる病気が進んでいくと。だから、肥満は病気と。
ただ太っているだけではなくて、いろんな病気の予備軍。重たくなれば、関節が・・
特に高齢になって関節病になりますし、心臓循環器病から吐きやすくなるとか、消化器の病気とか、
特に若い時は泌尿器の病気とかが起こる可能性があるということです。
これは時間が経ってからですが内分泌系の病気とか、有名なのは糖尿病。
これは肥満だから必ず起こるわけではないんですが、コレステロール血漿とかいろいろありますね。
やっぱり皮膚の代謝機能に異常があって、皮膚のバリアがそこまで敏感にならないんですね。
すごく太っていると、例えばそこの皮膚を触っても感覚がそこまで到達しないんですね。
すると痛くもかゆくもないからということで、だんだん刺激が強くなってきて
そこで炎症を起こしたりすることは有名な話ですね。7キロ以上の子もまれに来ますね。
頭が異様に小さく見えるとかね。そういう場合もありますね。ほとんど動けなかったりね。
飼い主の方も、持つことが大変というか、ほとんど持てなくて、いつもゴロゴロ寝ているだけと。
最初に困るのは、排尿、排便の問題でね。
やっぱり本当に肥満になると食欲がストップして食べなくなっちゃうとかいろいろありますね。
On Air DATE 20140928
「飼い猫を肥満にしないためにはどうすればいいのか?」
我々の肥満外来では、一番の共通されること、肥満といえば3分の1から半分近くが食事ですね。例えば、太っているからカロリーの取りすぎだというので、あげている食事、
半分にすればよいかというとそういうものではないんですね。
量を減らせば、お腹が空くわけですね。で、いつも食べ物を求めてうろつくと。
すると最悪、食べ物ではない、異物を誤飲するとかそういう危険性もありますので、簡単に言えば、食事の量はあって、
カロリーの少ないモノを食べさせれば、一定量、量がありますので、お腹は満たされると。
そういう食事は肥満用の食事とか、特に動物病院には肥満の食事も2、3種類分かれていますので、
その子に合った適切な食事を選ぶということが一番大事なことですね。
食事とともに大事なのは、水分の補給。水分補給の一番のポイントは、猫ちゃんを1匹飼っていれば、
必ずもう1カ所、2カ所以上にお水を置いておくということです。
もし3匹猫を飼っていれば、お水は4~5カ所必要と。実際にいる猫プラス1つ2つ水飲み場を増やすということです。
On Air DATE 20140929
「飼い猫が肥満になってしまったら?」
肥満になった対処法というのは、カロリーを減じる様な食事とか、それと、もう1つは、運動をさせるということですが、猫に運動をさせるのはなかなか無理で、カロリーが減るくらいの運動は実際は通常はできないということです。
無理に一生懸命運動をさせればいいのかもしれませんが、その場合は必ず病院に行って、うちの子の肥満の場合はどの程度運動をさせたらいいのか、
相談してから運動させるというか、ただやたらと多く運動させるわけではないですね。運動をさせるにあたって大事なことは、
猫の運動でよく言われているのは上下運動が好きだということですね。横に運動するよりも、上下でね。
あと、私が運動で強調したいことは、猫は運動難しんですね。猫に運動の代わりとして究極の手段があるんです。
猫にマッサージをするんですね。これは猫に刺激を与えて、飼い主さんとコミュニケーション、スキンシップになりますから。
以前、考えられたよりもとてもいい方法だと医学界でも分かっているんですね。マッサージは、猫をこすったり、皮膚をつまんだり、さすったりとか…
いろんな方法で猫の足1つ1つつかんで放してとか、猫の皮膚を上下にゆすったりとか、喜ばして触って刺激して・・・
それを5分、10分でもするとカロリーが消費されることが分かっていますんで、マッサージを取り入れるといいとおススメします。
一番は血行も良くなって代謝もあがると。全身の生態の機能が上昇するということなんですね。
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三鷹獣医科グループには「犬猫の肥満外来」があります。
詳しくはこちら→http://www.pet-hospital.org/guidance-himan.htm